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「静かな退職」が当たり前に?企業が今すぐ見直すべき3つの視点とは

  • FuvaBrain
  • 7月7日
  • 読了時間: 11分
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現代の働き方において、「静かな退職(Quiet Quitting)」という言葉が注目されています。

これは、社員が仕事を辞める意思を示すことなく、積極的な貢献を控え、最低限の業務だけを淡々とこなす状態を指します。大きなトラブルがないにもかかわらず、優秀な人材が離職していく背景には、この「静かな退職」が潜んでいることが少なくありません。


この記事では、その実態と企業が取るべき対策について解説します。

■静かな退職とは?言葉の定義とその背景


「静かな退職」とは、社員が物理的にはその職場に在籍していても、精神的には業務から距離を置いている状態を指します。明確な退職表明や職場トラブルが起きているわけではないため、企業側も気づきにくいという特徴があります。背景には、働き方改革やワークライフバランスの重視、評価制度への不満、心理的安全性の欠如などが影響していると考えられています。


静かな退職の特徴

静かな退職の特徴としては、

  • コミュニケーションの断絶

  • 貢献意欲の低下

  • 最低限の業務遂行

主にこの3つがあげられます。


たとえば、新たなプロジェクトへの提案や自発的な改善活動が減少し、会議やチームディスカッションでも発言が少なくなります。勤務時間外での対応を一切行わず、残業や休日出勤を避ける傾向も見られます。また、業務への積極的な関与が減り、最低限の業務のみを淡々とこなす姿勢が目立つようになります。

これは一見すると「ワークライフバランスを重視している」ようにも見えますが、実際には職場へのエンゲージメント低下のサインとなることが多いです。


「静かな退職」と「サイレント退職」の違い

「静かな退職(Quiet Quitting)」と「サイレント退職(Silent Quitting)」は混同されがちですが、意味合いがやや異なります。静かな退職は主に「退職の意志はないが最低限しか働かない状態」を指します。

一方、サイレント退職は「退職の意志があるが、その意思表示を行わず静かに職場を離れる準備を進めている状態」を指します。前者はエンゲージメント低下の段階、後者は実質的な離職準備の段階と捉えられます。


静かな退職の割合

株式会社マイナビは、全国の企業・個人を対象に実施した、「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」によると、正社員の44.5%、約4割以上が「静かな退職」をしていると回答。また、その中での最多回答は20代で46.7%にもおよびました。次いで50代が45.6%におよび、一番割合が低かったのは働き盛りの30代で、41.6%でした。いずれにせよ、どの世代にも4割程度「静かな退職」を実行している層があり、世代間による大きな差は見られませんでした。

また、静かな退職をしている人に聞いたところ、約6割の人が静かな退職を行ったことにより、「得られたものがある」と回答。さらに、7割以上が「今後も静かな退職を続けたい」と回答しています。


その結果に対し、「静かな退職」に賛成であるかどうかを企業の中途採用担当者に伺ったところ、賛成派が44.8%、「人それぞれ」という意見が多く、反対派が42.6%、「会社としては有益ではない」という意見で分かれていました。また、賛成の意見が多かった業種としては「IT・通信・インターネット」反対意見の多かった業種としては「不動産・建設・設備・住宅関連」と業種でも違いがみられる結果になりました。

※出典:株式会社マイナビ「正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)」 https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250422_95153/



■なぜ「静かな退職」が当たり前になりつつあるのか


コロナ禍以降、テレワークの普及や人間関係の希薄化により、社員のエンゲージメントが低下しやすくなっています。また、終身雇用や年功序列といった旧来型の制度が崩れつつあるなかで、「過度な労働を避けたい」「プライベートを優先したい」と考える若手社員を中心に、静かな退職は広まりを見せています。SNSの発達もこうした価値観の共有を加速させています。


経営者や役員は「静かな退職」を知らない割合が高い

Great Place To Work® Institute Japanが行った調査によると、静かな退職の認知度を調査したところ、「静かな退職」を聞いたことがあると答えた人は全体で約3割と少なく、その中では20代は静かな退職を知っている人が比較的に多い結果になりました。

職位ごとの認知度を「経営・役員」「部下を持つ管理職」「一般従業員」の3つから調べたところ、「経営・役員」が約20%程度と相対的に低く、現場や管理職の「静かな退職」への認知が進む一方で、「経営・役員」の認識が追い付いていないことが分かりました。

また、「部下を持つ管理職」に関しては、「静かな退職」という働き方を知ってなお、77.9%が公平にマネジメントをしようとする傾向にありました。


※出典:Great Place To Work® Institute Japan「静かな退職に関する調査2025年 https://hatarakigai.info/library/report/20250304_3849.html



■静かな退職を放置するリスクとは


静かな退職を放置すると、チーム全体の士気や生産性の低下につながります。また、目に見えない形での人材流出が進行することで、採用・教育コストの増大や顧客対応力の低下といった経営的損失を招く可能性もあります。さらに、周囲の社員にも悪影響を及ぼし、組織全体に無気力な風土が広がる危険性も否定できません。




■静かな退職による企業のメリットはあるのか


一般的に静かな退職は企業にとってリスクと捉えられますが、一部のケースでは間接的なメリットが生じる場合もあります。たとえば、最低限の業務は遂行されるため、急激な業務崩壊やトラブルは起こりにくい点が挙げられます。また、明確な対立や退職交渉が表面化しないため、組織内の摩擦や対人トラブルを一時的に回避できるケースもあります。

さらに、静かな退職状態の社員が無理に残業や過剰な仕事を背負わないことで、組織全体の労働負荷やワークライフバランスの見直しが促されるきっかけになる場合もあります。ただし、長期的に放置すれば職場全体のモチベーション低下や人材流出に繋がるため、早期の改善施策が必要であることに変わりはありません。



■静かな退職は解雇(クビ)出来るのか


静かな退職の状態にある社員を、業務上の理由のみで即座に解雇することは一般的に難しいとされています。日本の労働法においては解雇の正当性が厳しく問われるため、「やる気が見えない」「貢献意欲が低い」といった抽象的な理由だけでは解雇理由として認められないケースが多くあります。静かな退職の状態は、法律上の「労働契約違反」や「著しい職務怠慢」とはみなされにくいのが実情です。

ただし、業務命令に繰り返し違反したり、重大な職務放棄があった場合には、懲戒解雇や普通解雇の正当な理由と認められる可能性があります。企業側は、解雇を検討する前に、まずは個別面談を通じて状況を把握し、改善指導や配置転換といった段階的な対応を取ることが重要です。



■企業がとるべき「静かな退職」対策

企業がとるべき「静かな退職」対策

「静かな退職」の兆候を見逃さず、組織として早期に対応することが重要です。以下のような対策が効果的です。


定期的な1on1やフィードバックの実施

定期的な1on1やフィードバックの実施は、社員の本音や悩みを把握しやすくなり、早期のケアが可能になります。表面化しづらい社員の不安や不満を早期に把握する有効な手段であり、上司と部下が1対1でじっくり話す時間を設けることで、日常業務では見逃されがちな感情面の変化やモチベーションの低下兆候をキャッチできます。フィードバックも一方通行ではなく、双方向の対話を心がけることで信頼関係が築かれ、社員の心理的安全性が高まります。


業務内容と評価制度の見直し

業務アサインが不公平だったり、成果が正当に評価されなかったりと感じることは、静かな退職の大きな要因になります。社員が自分の業務にやりがいや正当な評価を感じられるよう、業務アサインや人事評価制度を再構築することが求められます。

具体的には、成果指標(KPI)の見直しや、貢献度に応じた昇給・昇格の仕組み作りが求められます。納得感のある評価は、社員のエンゲージメント維持に直結します。


職場環境・マネジメントの改善

上司の関わり方や職場の雰囲気が静かな退職の原因となることもあるため、管理職の研修やエンゲージメント調査の活用も有効です。上司が適切に部下の成果を認め、日頃から承認・感謝を示す文化があると、社員の帰属意識は高まります。

管理職に対しては、心理的安全性の作り方やコーチングスキルを学ぶ研修を実施し、現場レベルでのマネジメント力向上を図ることが効果的です。また、エンゲージメントサーベイを定期的に行い、職場環境の変化を可視化する仕組みも有効です。



■静かな退職へのリスクの高い対抗策「ステルス解雇」


「ステルス解雇」とは、企業が静かな退職状態の社員に対し、表立って解雇を宣告するのではなく、退職に追い込むような環境を意図的に作り出す手法を指します。たとえば、意図的に評価を下げる、昇進や昇給の機会を与えない、配置転換で不本意な業務を与える、孤立させるといった手法がこれにあたります。

このようなやり方は法的リスクが非常に高く、パワーハラスメントや労働契約法違反として訴訟リスクを伴う可能性があります。企業にとっては、一時的に「辞めさせたい社員」を排除できたとしても、長期的には組織の信頼性低下、風評リスク、人材確保の困難化といった悪影響を招きかねません。静かな退職への対応は、ステルス解雇のような圧力型ではなく、むしろ対話と改善を重視した予防的マネジメントが求められます。



■静かな退職を防ぐ『Eye“247” Work Smart Cloud』


Eye“247” Work Smart Cloud』は、社員の業務状況やPC操作ログを詳細に可視化できるクラウド型ツールです。「静かな退職」のように目に見えづらいモチベーション低下の兆候を、業務ログを通じて早期に察知することが可能になります。「静かな退職」の発生リスクを低減し、組織の健全なマネジメントを支援するツールといえるでしょう。


勤務・業務状況の把握

『Eye“247” Work Smart Cloud』では、PC操作ログから業務内容を把握することができます。

実働時間の可視化により、作業時間の急激な短縮や特定アプリのみの利用、急な残業時間のゼロ化など「静かな退職」に該当する行動パターンの変化を分析できます。

これにより、管理者が社員の業務状況を把握することはもちろん、「静かな退職」を実施している社員への聞き取りやアプローチがしやすくなります。


ログ分析

『Eye“247” Work Smart Cloud』を活用すると、業務内容をPC操作ログから把握でき、一日における業務内容の確認から、アウトプットだけでなく、そこに至るまでのプロセスも評価できるようになります。

また、作業内容から時間がかかっている業務や自動化できそうな業務を見つけることも可能になり、生産性向上のきっかけにつなげることもできます。

労働環境改善から「静かな退職」へのアプローチをすることが可能です。


日報をコミュニケーションに活用

「静かな退職」における、コミュニケーション不足は、『Eye“247” Work Smart Cloud』の日報・月報を活用することで補うことが可能です。

日報や月報では業務内容をタイムスケジュールに登録することで確認ができ、グラフで一日の働き方を定量的に分析し、その日の働きを可視化することが出来ます。データをもとに業務報告として上司とやり取りをすることが可能です。また、上司から部下へのフィードバックもできるので、日常的な業務の悩みなども相談しやすくなるメリットがあります。



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■まとめ:人が静かに仕事をやめる前に、企業ができること


静かな退職は、本人からのサインが出にくい分、企業側がその兆候を察知し、仕組みで対処することが必要です。社員の声に耳を傾ける姿勢と、組織としての柔軟な改善姿勢が、当該社員と「静かな退職」による影響を受けた周りの優秀な社員の人材流出のリスクを最小限に抑えるカギとなります。

この記事のポイント

  • 静かな退職は目に見えにくく、企業が兆候を察知する仕組みづくりが重要。

  • コミュニケーション断絶や貢献意欲低下が主な兆候となる。

  • 解雇ではなく、定期的な1on1や評価制度の見直しで早期改善が効果的。

  • 法的リスクの高いステルス解雇は長期的に企業に悪影響を及ぼす。

  • 対話・仕組み・柔軟なマネジメント改革で人材流出を防ぐことが可能。

  • 『Eye“247” Work Smart Cloud』活用で業務状況の可視化と抑止力を強化。




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