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フレックスタイム制の導入と運用|メリット・デメリットとは?


フレックスタイム制の導入と運用

フレックスタイム制は通常の固定労働時間制とは異なり、労働者が日々の始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることによって、生活と業務との調和を図りながら効率的に働くことができる制度です。多様な働き方が尊重される現代にとても親和性の高い労働時間制度として注目されています。


この記事ではフレックスタイム制の概要と導入することのメリット・デメリットなどを踏まえて、多様な働き方を実現するためにフレックスタイム制をどのように取り入れていくか有効な運用方法について解説します。

フレックスタイム制の導入をご検討されている企業のご担当者は、参考にしていただければ幸いです。

 

目次 :

 

フレックスタイム制とは


フレックスタイム制は、労働者本人の自由裁量によって始業時刻と終業時刻を決められる制度です。労働者が1か月などの単位期間のなかで一定時間数(契約時間)労働することを条件として、1日の労働時間を自分で決めて業務を開始し、終了することができます。

その時間帯の中で、始業・終業時刻を自由に決められる時間帯(フレキシブルタイム)や労働者が必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)が定められることが一般的です。


このように労働者が生活と業務の調整を図るのに利用しやすいことからワーク・ライフ・バランスが重視されるようになっている現代において、柔軟な働き方ができる制度として注目されています。特に育児や介護、病気などの離職に繋がりやすいライフイベントが起きた際に、このような制度を活用することで業務との両立がしやすくなり離職防止にもつなげることができます。フレックスタイム制の導入は比較的容易ですので企業にも労働者にも導入メリットの高い制度といえるでしょう。


フレックスタイム制のメリット


残業時間の削減

通常の固定労働時間制では、1日の労働時間(8時間を超えて働いた場合)によって残業代が確定することは珍しくありません。しかし、フレックスタイム制は清算期間全体を通して残業代が発生するか否かが決まりますので、特定の日または週のみがたまたま繁忙であったとしても、残業代が発生しないことがあります。そのときの業務量に応じて勤務時間を調整することができ、ムダな残業を減らすことができます。


ワーク・ライフ・バランスの実現

親の介護や子育てなどの家庭の事情で早く業務を終了したり、体調の悪いときにその日は早めに業務を終了して別の日にその分長く働いたりなど、生活と業務の調和を図りやすくなります。また、通勤ラッシュを避けて通勤ができれば、日常的なストレスからも解放されて心身ともに健康な状態を維持することもできます。

このように労働者本人が効率的に時間配分することで生活と業務の時間にメリハリが生まれ、生産性向上にもつながります。ワーク・ライフ・バランスの実現によって社員のやりがいとエンゲージメントの向上が図れるでしょう。


離職防止

家庭の事情により通常の固定労働時間制では勤務が難しい社員も少なくありません。そのような事情を抱える社員の中には高スキルを持っている方もおり、万が一離職を決断されてしまうと新たに採用をして育成していく労力が発生します。人手不足を課題とする企業が今後も増えていくと予測される中で、離職による企業の損失は一層大きなものとなるでしょう。フレックスタイム制を導入することで、生活と業務の調和を図りやすくなり、このようなライフイベントをきっかけとした離職を防止することができるでしょう。


優秀な人材確保

働き方改革が推進されて時間や場所に捉われずに自らの能力を最大限に発揮したいというニーズが高まっています。決められた業務内容を淡々とこなすというよりもアイデアを基に新たな業務展開が期待される職種の場合には、ある程度の時間的な裁量を与えた方が力を発揮してくれやすいとったケースがあります。そのための環境整備の一環として、フレックスタイム制があり、求人の段階で同制度を導入していることを明記することで有能な人材確保につながることがあります。


フレックスタイム制のデメリット


勤怠管理の煩雑化

フレックスタイム制は、始業・終業時刻を社員自らが決めることになります。そのため業務時間がバラバラになってしまい始業・終業時刻、休憩など勤怠の時間管理が複雑になってしまいます。


生産性低下の懸念

フレックスタイム制は、社員自ら労働時間を自由に設定できるため、自己管理が苦手な社員は自分に甘くなってしまったり、集中力が続かなくなったり、業務の生産性を下げてしまう恐れがあります。 また、フレックスタイム制を利用する社員と利用しない社員の間で勤務や評価に対して不公平を感じたり、不満が出ることもあります。せっかく導入したフレックスタイム制も運用と業務管理を適切に行わないと、社員のモチベーションを下げてしまい、生産性を下げることにもつながります。


社員間のコミュニケーション不足

フレックスタイム制は、固定労働時間制とは違い、社員によって労働している時間帯がそれぞれ違ってくることがあり得ます。必ずしも社員同士が同じ時間帯に働くとは限らないので、社員同士が直接会える機会が少なくなり、コミュニケーション不足や情報共有がスムーズに行えなくなるなどの問題も起こり得るでしょう。


水道光熱費等の負担増

フレックスタイム制は、さまざまな時間帯に働くことが予想されますので、会社として稼働している時間帯が長時間化し水道光熱費等が増加することが考えられます。もちろん、それを超える成果が生み出せればむしろプラスとなりますが、固定的に発生する支出となりますので無視できない問題です。事務所の大きさやフレックスタイム制を利用する社員数によってコスト面の負担が増加することになります。


フレックスタイム制の導入の流れ


フレックスタイム制を導入するためには就業規則への記載と労使協定の締結が必要です。ただし、清算期間が1か月以内であれば、所轄労働基準監督署への労使協定の届出は必要ありません。


労使協定で定めるべき事項

  1. 労働者の範囲を決める

  2. 清算期間を決める

  3. 清算期間における総労働時間を決める

  4. その他厚生労働省令で定める事項(標準となる1日の労働時間など)を決める


1. 労働者の範囲を決める


フレックスタイム制をとる労働者の範囲を決めます。例えば、一部の部署や社員に限定してフレックスタイム制を導入することも可能です。


2. 清算期間を決める


フレックスタイム制の清算期間とは、労働者が働くべき時間を定めた期間のことです。現在、清算期間の上限は3か月となっています。併せて、清算期間の「起算日」も決めておく必要があります。

フレックスタイム制の特徴として、1日の労働時間が8時間を超えた段階では残業が確定していません。清算期間である3か月以内の期間で定められた時間数を超えなければ原則的に残業代が発生しません。

例えば、ある月は業務が繁忙期で長時間労働になってしまっても、翌月にその分の勤務時間を減らして疲労回復にあてることもできます。フレックスタイム制によって、よりメリハリのある働き方ができて、生活と業務の調和を図りやすくなります。


清算期間の上限

3. 清算期間における総労働時間を決める


清算期間の「総労働時間」とは、労働者が清算期間に働くべき時間のことです。総労働時間は、1週間あたりの平均労働時間が法定労働時間の40時間を超えないように設定します。

参考までに清算期間における総労働時間の総枠は次のとおりです。


清算期間における総労働時間の総枠

​​1か月単位

​2か月単位

​3か月単位

​清算期間 の暦⽇数

​法定労働時間の 総枠

清算期間 の暦⽇数

法定労働時間の 総枠

清算期間 の暦⽇数

法定労働時間の 総枠

​31日

​177.1時間

62日

354.2時間

92日

525.7時間

​30日

171.4時間

61日

348.5時間

91日

520.0時間

​29日

165.7時間

60日

342.8時間

90日

514.2時間

​28日

160.0時間

59日

337.1時間

89日

​​​508.5時間

出典:厚⽣労働省・都道府県労働局・労働基準監督署

フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き


4. その他厚生労働省令で定める事項を決める


・標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間を決めます。年次有給休暇を取得したとき、この時間分を労働したものとして賃金計算がされます。


なお、フレックスタイム制でも法定休日、休憩、深夜労働の原則は適用されます。週に1日の法定休日を与え、休憩も1日の労働時間に応じて与えます。やむを得ず深夜労働になってしまった場合も、会社がそれを認めている場合は、深夜労働の割増賃金を支払う必要があります。


フレックスタイム制の例

・コアタイムとフレキシブルタイムの設定(任意)

また、フレックスタイム制をよりよい制度とするためにコアタイムとフレキシブルタイムを導入している企業も少なくありません。


コアタイムとは、社員が必ず労働しなければならない時間帯を指します。活用例として、10時から15時の間は顧客からの問い合わせが集中するために、社内で業務にあたってほしいというニーズは少なくありません。そこで、コアタイムを設けて、当該時間帯に社員を集中させるということです。


フレキシブルタイムとは、社員が選択できる労働時間帯です。この時間帯であれば、社員はいつ出社しても退社してもかまいません。なお、社員の健康面への影響を考慮して深夜に労働させることは好ましくないことから終業時刻が22時を超えないように設定している企業が多いです。


フレックスタイム制を導入するときの注意点とその対策


効率的な勤怠管理をする

フレックスタイム制のメリット、デメリットなどを踏まえたうえで、ご注意いただきたいのは「労働者に始業・終業時刻の決定を委ねたとしても、企業側は各人の労働時間を把握する責務がある」ということです。


フレックスタイム制とはいえ、深夜労働や法定休日労働が発生した場合は、割増賃金の対象となります。併せて、フレックスタイム制の根幹となる総労働時間については、割増賃金の支払い義務が生じるかどうかは清算期間が1か月か、それとも1か月超えであるかで取り扱いが異なります。


このようにフレックスタイム制では労働時間の管理がより煩雑になることが予想されます。労働時間は自己申告ではなく、PC操作ログやタイムカードなどの客観的なデータによる労働時間の適正かつ正確な管理が求められています。フレックスタイム制の導入に向けて効率的に勤怠管理を行うためにシステム化することも検討しましょう。


例えば、始業・終業時刻、休憩等を正確に記録できるタイムカードや打刻機などの導入を検討することもその1つです。費用は、初期費用と打刻機、月額のシステム利用料等が掛かるのが一般的です。

初期費用がおよそ50万円~100万円、打刻機は安いもので3千円から静脈認証などの高額なものまで打刻方式によって幅広く選択ができます。


月額のシステム利用料などは契約数によって変動する場合がありますので、導入後の運用・ランニングコストを踏まえて、自社にあった打刻システムの導入をご検討されることをお勧めします。


制度を適用する範囲を明確にする

フレックスタイム制を導入する際には、対象とする部署や社員を見極めてフレックスタイム制を活用するとよいでしょう。


【フレックスタイム制の導入に適している職種】

主に情報通信業では比較的、フレックスタイム制が採用されている傾向があります。

職種でいえば、事務職や企画職、エンジニアやプログラマー、デザイナー等の専門職などが挙げられ、周りからの影響が少なく、個人での業務や専門技術的な業務が中心となっている職種が適しているとされています。


一定の制限とルールづけをする

社員にとっては労働時間を自由に決められるメリットの高い制度ではありますが、社員が業務の繁閑に合わせて働いてくれるとは限らず、コアタイム以外は在席を指示できないなど企業側のデメリットが多くあります。必要に応じてコアタイムやフレキシブルタイムなどを設けて、勤務時間に一定の制限をつけ、ルールづけをしましょう。


『Eye“247” Work Smart Cloud』のフレックスタイム制を支援する機能


Eye“247” Work Smart Cloudは、業務可視化、IT資産管理、セキュリティ対策、情報漏えい対策などテレワークの課題を幅広く解決できる生産性向上ツールです。


今回は、Eye“247” Work Smart Cloudのフレックスタイム制を支援する機能をご紹介します。


社員の働き方を可視化

フレックスタイム制は、利用する部門や社員を限定して導入することができます。なかでも介護や育児などの理由によってフレックスタイム制を利用する社員は、始業・終業時刻や休憩時間にばらつきがでてきてしまいます。


『Eye“247” Work Smart Cloud』は社員の働き方を可視化して、コアタイム、フレキシブルタイムの時間帯の労働か、また深夜労働、法定休日労働となっていないかを一目で確認することができます。


社員の働き方を可視化

打刻アプリによる1分単位の勤怠記録

さらに、『Eye“247” Work Smart Cloud』では、勤怠管理オプションを導入することで、PCやスマートフォンで出退勤の打刻を行い、社内でも社外でも簡単に勤怠の実績を記録することができます。


打刻は、ワンクリック(ワンタップ)による簡単な打刻操作です。始業、終業、休憩時の中断時間、法定休憩の記録が1分単位でできます。打刻アプリをインストールするだけで利用できますので、打刻器等の初期費用や月額のランニングコストも抑えられます。


打刻アプリによる1分単位の勤怠記録

社員の利便性が向上するだけでなく、打刻時に位置情報を同時に取得するので、勤怠と就業場所を正確に記録して、報告との乖離を見つけることができます。時間管理や社内規則にルーズな社員のサボり防止にもつなげることができます。


『Eye“247” Work Smart Cloud』は、この他にも多くの機能を備えており、「業務分析」「IT資産管理」「情報漏えい対策」「セキュリティ対策」の4つの切り口で、テレワークにおけるさまざまな課題を解決・支援します。



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まとめ

フレックスタイム制を導入することによって、介護や子育てなど始業・終業時刻を調整して生活と業務の調和が図れる、通勤ラッシュを避けて日常的なストレスから解放され心身ともに健康な状態を維持することができるなど導入メリットの高い制度です。


今回ご紹介したメリット・デメリットと導入時の注意点を参考にフレックスタイム制のスムーズな運用と会社全体の残業時間の削減、生産性向上に取り組んでいきましょう。

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