不正の三要素とは?企業が理解すべき「動機」「機会」「正当化」
- FuvaBrain
- 7月9日
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企業活動において「不正」は深刻な経営リスクの一つです。内部犯行や情報漏洩、横領、機密情報の持ち出しなど、様々な形態で発生し、企業の信頼と存続を脅かします。こうした不正行為の背景には共通する要因が存在すると考えられており、それを体系的に説明するのが「不正の三要素(Fraud Triangle)」という理論です。
この記事では、不正の三要素である「動機」「機会」「正当化」の仕組みを解説し、企業が実践すべき予防策について具体的に紹介します。
目次
動機(Motivation)
機会(Opportunity)
正当化(Rationalization)
不正行為を生む三要素の相互作用とプロセス
営業担当の顧客情報持ち出し
経理担当者の横領
開発部門の機密データ持ち出し
動機への対策
機会への対策
正当化への対策
『Eye“247” Work Smart Cloud』で不正リスクに対応
個人情報保持チェックで情報漏洩リスクを確認
ログの取得で異常行動やリスクの兆候を察知
証拠・証跡としても活用可能
■不正とは何か?その定義とビジネスへの影響
不正とは、組織のルールや法令に反して行われる違法・不適切な行為を指します。企業活動においては、情報の持ち出し、横領、粉飾決算、架空請求など、様々な形で発生します。不正行為が明るみに出ると、企業は金銭的損失だけでなく、社会的信用の失墜、株価の下落、取引先や顧客の信頼喪失といった深刻な影響を受けます。特に、内部の社員による不正は発見が遅れやすく、長期間にわたって損害が拡大するケースも少なくありません。そのため、企業は「不正とは何か」を正しく理解し、未然に防ぐ仕組みづくりが求められます。
■不正の三要素(トライアングル)とは
不正の発生要因を体系的に説明する理論として有名なのが「不正の三要素(Fraud Triangle)」です。この理論では、不正は以下の3つの要素が揃ったときに発生するとされています。
動機(Motivation)
不正の三要素における「動機」とは、不正を行う心理的な理由です。経済的な困窮、借金、成果への過度なプレッシャー、ノルマ未達成への恐怖などが典型例です。社員が追い詰められた状況にあると、不正を行う可能性が高まります。
機会(Opportunity)
不正の三要素における「機会」とは、不正を実行できる環境や隙です。管理が緩い、監査が形骸化している、アクセス権が過剰に付与されているといった内部統制の甘さが原因となります。特に中小企業では経理や管理部門の人員不足が「機会」を生みやすい要因です。
正当化(Rationalization)
不正の三要素における「正当化」とは、自分の不正行為を合理化する心理的な言い訳です。「会社は自分を正当に評価していない」「一時的に借りるだけ」「誰にも迷惑をかけていない」といった思考が当事者の背中を押します。
不正行為を生む三要素の相互作用とプロセス
不正行為は、これら三要素が単独で存在するだけでは発生しにくく、相互に影響し合いながら不正への道筋が形成されます。たとえば、生活の困窮という「動機」を抱えた社員が、適切に管理されていないシステムの「機会」に直面し、さらに「自分は会社に搾取されているから仕方ない」という「正当化」を行った場合、不正が実行に移される可能性が高まります。
このように、三要素は互いに補強し合い、複雑に絡み合いながら不正のリスクを現実化させます。企業は、三要素のいずれか一つでも排除・抑制することで、全体の不正リスクを大幅に下げることができるのです。
■各要素が引き起こす社内不正の事例集
不正の三要素が揃った典型的な社内不正の事例を紹介します。
営業担当の顧客情報持ち出し
営業担当者A氏は、営業ノルマの未達成に苦しみ、次の転職先を探していました。新しい勤務先で成果を出すためには顧客リストが有用だと考え、在籍中の企業が運用していたクラウド共有システムに保管された顧客データにアクセスしました。アクセス権の管理がずさんで、退職予定者であるA氏もそのまま情報にアクセス可能な状態でした。A氏は「これは自分の営業努力で築いた顧客だから問題ない」と自己正当化し、データを私物のUSBに保存し持ち出してしまいました。
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経理担当者の横領
経理担当者B氏は、家族の借金返済に追われており、生活資金を確保するため不正行為に手を染めました。B氏は複数の銀行口座への振込処理を一人で管理しており、その権限を利用して自分の個人口座へ少額ずつ不正送金を繰り返しました。内部監査は形式的で実質的なチェックが行われておらず、長期間にわたって不正が継続されました。B氏は「いずれ返済するつもりだった」と正当化していましたが、最終的には多額の横領が発覚し、大きな問題となりました。
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開発部門の機密データ持ち出し
開発部門に所属するC氏は、ライバル企業から転職の打診を受けていました。新天地で有利な立場を得るため、自らが携わってきた新製品の設計データやソースコードを持ち出そうと考えます。社内ではUSBメモリの利用が自由に許可されており、C氏はUSBに大量の開発データをコピーしました。「自分が開発した成果物なのだから持ち出しても問題ない」と自己正当化していたものの、後に情報漏洩問題として深刻化しました。
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■不正を防ぐために企業が取るべき対策とは

企業は不正の三要素それぞれに対策を講じることが重要です。三要素それぞれの対策方法を確認しましょう。
動機への対策
●過度なノルマやプレッシャーの緩和
過度なノルマやプレッシャーは、社員に強いストレスを与え、不正の動機を生む原因となります。現実的で達成可能な目標設定を行い、適切な業務負荷を分配することが重要です。また、成果を出した際には適切な評価と報酬を提供することで、健全なモチベーションを維持できます。
●社員の生活・メンタルヘルスケア制度の充実
経済的困窮やメンタルヘルスの悪化は、不正を誘発する要素になります。生活支援制度や福利厚生の充実、社内カウンセリング窓口の設置など、社員が安心して働ける環境整備が求められます。上司との定期的な面談も、早期の問題把握に有効です。
●公平な評価制度の整備
「会社は正当に評価してくれていない」という不満は、正当化の心理につながります。評価基準の透明化、成果と努力を正しく反映する人事制度を整えることが、不正の動機や正当化の芽を摘む重要なポイントです。定期的なフィードバック制度も有効です。
機会への対策
●職務分掌(権限分離)の徹底
一人の担当者が複数の重要業務を兼任すると、不正の「機会」を生みやすくなります。たとえば、経理担当者が支払処理と承認を同時に行える状況では、不正送金が行われても発覚が遅れます。職務分掌により、承認権限や実行権限を分離し、複数のチェック機能を持たせることが基本です。
●アクセス権限の適正管理と定期見直し
ITシステムのアクセス権限が過剰に付与されると、情報の不正取得や改ざんリスクが高まります。役職や業務内容に応じた最小限の権限付与(最小権限の原則)を徹底し、異動や退職に伴う権限削除も速やかに実施する必要があります。半年や年度単位での定期的な棚卸し作業も有効です。
●ログ管理・監査体制の強化
システム操作ログ、ファイルアクセス履歴、USB使用履歴などを継続的に記録・監査する仕組みは、不正の抑止力となります。ログ監査は事後検証だけでなく、リアルタイム監視や異常行動のアラート通知を組み合わせることで、早期発見が可能になります。監査部門や外部監査との連携も重要です。
正当化への対策
●社内倫理教育・コンプライアンス研修の実施
社員に対して定期的に倫理教育やコンプライアンス研修を実施することで、不正行為の危険性と禁止事項を明確に伝えます。事例を交えた研修を行うことで、自身の行動がどのような法的リスクや企業リスクに繋がるのかを具体的に理解させることができます。
●不正行為の重大性や法的リスクの啓蒙
不正が発覚した場合の刑事責任・民事責任・会社への損害など、具体的な法的リスクを啓蒙することが有効です。「バレなければ大丈夫」という誤った認識を正し、不正は重大な処罰の対象であることを全社員が理解する必要があります。
●通報制度(ホットライン)の整備と信頼構築
社内外から不正の兆候を早期にキャッチするには、通報制度の整備が不可欠です。通報者が匿名で相談でき、報復を恐れずに通報できる信頼性の高い仕組みを用意することが重要です。また、通報内容は適切に調査・対応されるという企業姿勢を社内に浸透させることも、制度の実効性を高めます。
これらを総合的に実施することで、不正発生の芽を摘むことが可能になります。
■不正リスクの減少に向けた企業が検討すべきポイント
不正リスクを減少させるためには、まず自社の現状を客観的に評価することが重要です。各部門の権限状況、アクセス権限の管理体制、監査の実効性、通報制度の運用状況など、具体的な管理項目を洗い出し、可視化します。その上で、技術的対策(ログ監視、アクセス制御、アラート通知システム等)と組織的対策(教育、評価制度、メンタルケア等)をバランスよく組み合わせて対策を講じる必要があります。
さらに、経営層自身が不正対策の重要性を理解し、現場に対して常にメッセージを発信し続ける姿勢が抑止力になります。短期的な施策だけでなく、継続的な改善活動として定期的にチェック体制を見直す運用も不可欠です。
■『Eye“247” Work Smart Cloud』で不正リスクに対応
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、不正リスクを可視化し、早期発見と抑止につなげる強力なツールです。
PC操作ログやUSB使用履歴、ファイルアクセス履歴、Webアクセスログなど、日々の業務における詳細な行動履歴を自動で取得・保存できます。『Eye“247” Work Smart Cloud』を導入することで、社員にも「行動が記録されている」という心理的抑止力が働き、「正当化」「機会」の芽を摘む効果も期待できます。
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、不正の三要素すべてに対策可能な実効性の高い管理ソリューションです。
個人情報保持チェックで情報漏洩リスクを確認
『Eye“247” Work Smart Cloud』では、各PC端末のフルスキャンを行い、個人情報を含むファイルと件数を特定し記録します。この個人情報保持チェックにて、従業員が顧客情報などの個人情報を多く保持している場合、情報漏洩リスクが高いと判断できます。
また、個人情報の保有数が急激に増加した場合、顧客情報の持ち出しなどの不正につながる恐れがあります。対象の従業員への聞き取りを行うことで、不正行為の発生を未然に防ぐことが出来ます。
ログの取得で異常行動やリスクの兆候を察知
PC操作ログやUSB使用履歴、ファイルアクセス履歴、Webアクセスログなど、日々の業務における詳細な行動履歴を自動で取得・保存できます。
日ごろからログの管理・分析をしていれば、急に特定の顧客リストへのアクセス頻度が増えたり、休日・深夜のファイル持ち出しが確認されたりといった、「異常行動」や「リスク兆候」をリアルタイムで検出できます。また、事前にアラートを設定することで、早期発見もしやすくなります。
これにより、不正の「機会」が発生しても未然に察知・対応が可能になります。
証拠・証跡としても活用可能
操作ログは客観的な証拠としても活用でき、事後の調査や教育にも役立ちます。
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、社員のPC操作に関するあらゆる情報を記録。誰が・いつ・どのファイルにアクセスし、どのような操作(コピー、削除、外部送信など)を行ったのかを詳細に把握できます。
これにより万が一、情報漏洩の発生やトラブルが発生した場合でも、内部調査はもちろん、労務監査や警察・法務対応など外部機関への証拠提出にも信頼性の高いデータを提供できます。
■まとめ:不正リスクを可視化し、抑止するには
不正の三要素「動機・機会・正当化」は、企業のあらゆる場面に潜んでいます。重要なのは、不正が発生する前に兆候を察知し、行動を可視化する仕組みを整備することです。ITシステムのログ管理やアクセス監視、アラート通知ツールの活用は、不正の「機会」を大幅に減らす有効な手段です。また、管理職や経営層が日頃からオープンな対話を心がけ、社員が悩みを抱え込まない風土を作ることも、不正抑止には欠かせません。
この記事のポイント
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