隠れ残業をPCログで見える化。発見方法と企業が取るべき対策とは?
- FuvaBrain
- 12 時間前
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テレワークやフレックスタイム制の浸透により、社員の勤務実態が見えにくくなっている今、表面化しづらい「隠れ残業」が企業にとって大きなリスクとなりつつあります。働き方改革やコンプライアンスの観点からも、実労働時間を正確に把握し、適正にマネジメントすることが求められています。
この記事では、PCログを活用した隠れ残業の見える化と、PCログによる発見方法、企業が取るべき実践的な対策について詳しく解説します。
目次
隠れ残業とサービス残業との違い
隠れ残業とサボり残業との違い
隠れ残業の実態データ
PCログとは?なぜ隠れ残業防止になるのか
PCログ分析で「実際の労働時間」を客観的に把握する方法
業務量・人員配置のミスマッチ
評価制度や企業風土の問題
勤務時間の管理方法における問題点
PCログを用いた労働時間のリアルタイム管理
アラート機能で異常勤務を即座に検知
労働時間の適正化を促す人事評価の導入
マネージャー研修・現場リーダーの意識改革
労働時間削減と生産性向上を両立する業務改革施策
隠れ残業を見える化する『Eye“247” Work Smart Cloud』
稼働実態のリアルタイム可視化と隠れ残業抑制効果
コンプライアンス対応と労務管理効率化のメリット
■隠れ残業とは?その実態と企業リスクを解説
隠れ残業とは、勤怠システム上は勤務時間外であるにもかかわらず、実際には業務に従事している状態を指します。ステルス残業とも呼ばれ、近年、テレワークの普及により勤務開始や終了が自己申告になりやすく、PCを使って業務を続ける“申告外労働”が増加しています。上司や同僚の目が届きにくいため、本人の自覚なしに残業が常態化してしまうケースも見受けられます。
隠れ残業が放置されると、従業員の健康悪化や生産性低下を引き起こすだけでなく、未払い残業代を巡る労使トラブルや労働基準監督署からの是正勧告といった法的リスクにも発展します。企業にとってはコンプライアンス違反による信用失墜や、損害賠償リスクの増大にもつながるため、早急な可視化と対策が求められています。
隠れ残業とサービス残業との違い
隠れ残業とサービス残業は、どちらも労働時間が適切に申告・支払われていない点で共通しますが、その背景と性質に違いがあります。
サービス残業は、企業側の指示や業務の都合によって発生しながら、組織的に残業代が支払われないケースが多く、明確な労基法違反となります。一方で、隠れ残業は本人の自主的な判断で申告せずに行われる残業であり、管理側が気づかないまま放置されている点が特徴です。
いずれも企業には適切な労働時間の把握義務があるため、見逃しは重大な法的リスクにつながります。
隠れ残業とサボり残業との違い
隠れ残業と混同されがちなものに「サボり残業」がありますが、両者は本質的に異なる現象です。
サボり残業とは、定時後に本来の業務を終えているにもかかわらず、会社にとどまりながら実際には私的な時間を過ごし、見かけ上の残業時間を長く見せる行為を指します。目的は残業手当の不正受給や、表面的な勤勉さのアピールであることが多く、意図的かつ不誠実な行動と言えます。一方、隠れ残業は労働者自身が業務に対する責任感や業務量の多さから、申告なしで労働を継続してしまうケースが多く、悪意がない点が大きな違いです。
いずれも企業としては早期に把握し、働き方の見直しや組織風土の改革を行うことが重要です。
隠れ残業の実態データ
2023年、株式会社オロは、IT・広告・コンサルティング業等の知的サービス業に従事する18歳~29歳のZ世代906名に対して「残業時間」に関する実態調査をしたところ、計42.2%の人が隠れ残業をしている結果が出ました。また、企業の勤怠管理の仕方により、隠れ残業が行われる割合に変化があるのかを調べたところ、勤怠管理システムでは22.7%、紙のタイムカードでは42.8%、自己申告では32.1%、上司が確認・記録では22.2%が隠れ残業を「かなりしている」「少ししている」と答えていました。上司が記録・勤怠管理システム以外の方法で勤怠管理をしている場合、隠れ残業が行われやすいという結果が出ています。
※出典:Z世代の「残業時間」に関する実態調査2023
■PCログで隠れ残業を防止する
隠れ残業を未然に防ぐには、社員の労働実態を定量的に把握し、申告されていない稼働時間の兆候を見逃さない仕組みが必要です。そのための有効な手段が「PCログ」の活用です。PCログの基本的な概要から、実際にどのように分析し防止につなげていくのかまで、段階的に解説していきます。
PCログとは?なぜ隠れ残業防止になるのか
PCログとは、従業員が使用するパソコン上の操作履歴や稼働状況を記録したデータのことを指します。主なログ項目には、PCのログオン・ログオフ時刻、アプリケーションや業務ツールの使用時間、ファイルのアクセス履歴、マウスやキーボードの操作情報などが含まれます。これらのログを活用することで、申告された勤怠時間と実際の業務実態とのズレを客観的に把握することが可能になります。
特に、テレワークやフレックス制度下では、管理者の目が届きにくく、自己申告ベースの勤怠管理では実態把握が困難です。PCログを活用すれば、打刻後にも業務ツールを使い続けているケースや、深夜や休日に稼働している状況も可視化され、いち早く「隠れ残業」の兆候を察知できます。こうした早期の気づきが、業務配分の見直しや体調フォロー、マネジメント改善といった具体的な対策につながるため、PCログは単なる監視手段ではなく、従業員の健康と働き方を守るための実効性あるツールとして注目されています。
PCログ分析で「実際の労働時間」を客観的に把握する方法
まず、PCの起動・終了ログと勤怠打刻時間を突合します。これにより、業務開始前や終了後にPCが起動・稼働している時間帯が明らかになり、申告されていない作業の兆候を捉えることが可能となります。
次に、アプリケーションの使用履歴から業務時間帯の実働傾向を分析することで、業務で使用されるツール(例:メールソフト、業務管理システム、Excelなど)がどの時間帯にどれだけ使われていたかを詳細に把握できます。終業打刻後や休憩時間中に業務ツールが活発に使用されている場合、形式的な退勤後も作業が継続されていたと判断され、いわゆる「隠れ残業」の典型的なパターンとみなされます。
これらのデータは、可視化ツールを用いてグラフやレポートとして出力され、誰が・いつ・どの程度の業務に従事していたかを直感的に把握できるようになります。また、管理者は対象者の稼働状況を客観的に把握できます。
■隠れ残業が発生しやすい企業の共通点と原因3つ
隠れ残業は、特定の業種や職種に限らず、企業の運用体制や風土によって発生しやすくなります。
隠れ残業が常態化しやすい企業の特徴を整理し、なぜそのような状況が生まれるのかを具体的な観点から分析していきますので、自社の課題を客観的に見直すためのヒントとして、ぜひご活用ください。
業務量・人員配置のミスマッチ
繁忙期の人員不足や過度な業務集中により、定時内に仕事を終えられない状況が続くと、従業員は申告せずに“自主的に”残業をするようになります。特にバックオフィス部門など定量的な工数管理が曖昧な部署で発生しやすく、繁忙期やプロジェクトの締切前などでは、本来であれば増員やリスケジュールを行うべきタイミングでも、現場での対応に頼りがちです。こうした状況では「申告せずに残ることが当たり前」という空気が生まれやすく、隠れ残業が常態化しやすい環境になります。定量的な工数分析と、柔軟な人員配置計画の見直しが必要です。
評価制度や企業風土の問題
「残業=頑張っている」といった風土が根付いている企業では、あえて申告せずに働き続けることが評価につながるという誤解が広がりやすく、隠れ残業が常態化します。これは、実労働時間よりも“頑張っている姿勢”を評価する文化が根付いていることに起因します。隠れ残業を正当化してしまう風土は、マネジメントの無意識のメッセージからも形成されているため、トップダウンによる意識改革が不可欠です。評価制度も、成果を正しく評価する成果主義型に移行し、プロセスや時間ではなくアウトプットで評価する基準を明確化することで、隠れ残業を抑止する文化が育まれます。
勤務時間の管理方法における問題点
勤怠管理が紙ベースや自己申告のままだと、実態と乖離した記録が蓄積され、本人の健康状態も把握しづらくなります。このような場合、労働時間の記録と実態が乖離し、企業はリスクの高いグレーゾーンを抱えることになります。そこで、PC操作ログやアプリケーション使用時間などを活用し、システム的に客観的なデータを取得することで、従来の“信用ベース”から“エビデンスベース”への転換が図れます。
■隠れ残業をなくすために企業が今すぐできる対策5選

隠れ残業は、制度面の見直しだけでは完全に解消することが難しく、実態の把握と行動変容を促す具体的な施策が必要です。ITツールの活用から人事制度の再設計、マネジメント層の意識改革に至るまで、企業が今すぐ取り組める5つの現実的な対策を紹介します。
1.PCログを用いた労働時間のリアルタイム管理
PCログと勤怠データを組み合わせることで、実際の労働時間をリアルタイムで把握できます。これにより、勤怠打刻と実働時間にギャップが生じていないかを継続的に監視できます。特定の従業員に過度な残業が見られる場合には、アラートを発信して注意喚起を行い、本人には業務時間の自己認識・自己是正を促すとともに、管理者は早期介入による適切な業務調整が可能になります。こうした可視化は、労働時間の適正化だけでなく、従業員の健康管理にも役立ちます。
2.アラート機能で異常勤務を即座に検知
長時間労働や深夜・休日勤務など、あらかじめ設定したしきい値を超えた際には、PCログから異常勤務を自動的に検知し、アラートを発信することができます。この通知は管理者と本人双方に届くため、即時に状況を共有し、業務負荷や労務上の問題をスピーディーに是正する体制を築くことが可能です。蓄積されたログデータは、異常勤務の傾向分析にも利用でき、将来的な業務改善や体制見直しにも貢献します。
3.労働時間の適正化を促す人事評価の導入
残業時間の少なさや、時間内で成果を出す働き方を人事評価に反映させる制度設計は、長時間労働是正に非常に有効です。単なる“量”ではなく“質”で評価する体制を整えることで、働き方改革を制度面から支えることができます。さらに、OKRやKPIの達成度と勤務状況をあわせて評価すれば、成果主義と労務管理のバランスがとれた健全な職場文化の醸成につながります。
4.マネージャー研修・現場リーダーの意識改革
管理者が正しい労働時間管理の重要性を理解し、適切に運用できるようにすることが改革の第一歩です。中間管理職は現場と経営の橋渡し役を担うため、労働時間管理のキーマンとしての自覚と行動が求められます。管理職向けに「適正労働時間のマネジメント」「ログ活用による部下の状態把握」などを含む研修を実施することで、現場レベルでの改善を促進します。
5.労働時間削減と生産性向上を両立する業務改革施策
単に残業を減らすだけでは本質的な改善とは言えません。業務プロセスの見直し、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入、非効率業務の棚卸しなどを通じて、残業そのものが不要な体制を整えます。タスク管理ツールやプロジェクト管理ソフトを活用し、業務進捗と工数を可視化することで、チーム全体の業務負荷バランスを最適化できます。これにより、時間当たりの生産性を高めつつ、残業時間の削減も実現できます。
■隠れ残業を見える化する『Eye“247” Work Smart Cloud』
隠れ残業を根本から解決するには、実際の稼働状況をリアルタイムかつ客観的に把握できる仕組みが不可欠です。『Eye“247” Work Smart Cloud』は、社員のPC操作ログをもとに労働実態を可視化し、隠れ残業の早期発見と抑制を可能にするクラウド型ツールです。
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、PCのログオン/ログオフ、アプリ使用状況、PC操作の記録をもとに、稼働状況をリアルタイムで把握できます。これにより、勤怠システムと実労働のギャップを見逃さず、隠れ残業を“見える化”できます。
PCの操作ログと勤怠打刻データを並べて確認することができる、勤怠乖離チェックを活用することで、これらの情報をひと目で把握することが可能です。
また、勤怠管理オプションを契約している場合は、勤怠データに乖離があれば、自動的にアラートが発報され、管理者にメールで通知されます。これにより、異常な勤務状況を早期に把握し、面談や業務調整などの対応につなげることが可能です。
コンプライアンス対応と労務管理効率化のメリット
PC操作ログはそのまま労働時間の証拠として活用でき、労働基準監督署対応や社内監査における信頼性を高めます。また、手作業による勤怠集計の手間を削減し、労務管理の生産性向上にも寄与します。『Eye“247” Work Smart Cloud』は、過去には虚偽の残業代請求に勝利をしており、信頼性の高いデータを提供することが可能です。
■まとめ:PCログ活用で隠れ残業ゼロを実現
隠れ残業は、見えないまま放置すれば従業員の健康と企業の信用を損なう重大リスクです。PCログを活用すれば、実際の働き方を可視化し、早期対処が可能になります。特に『Eye“247” Work Smart Cloud』のような専門ツールを導入することで、労務リスクを低減しつつ、健全な働き方改革を実現できます。企業全体での意識共有と仕組みの整備を今こそ進めるべきです。