【最新版】生成AI時代の情報漏洩対策ガイド。企業がとるべき対策を紹介
- FuvaBrain
- 7月4日
- 読了時間: 15分

急速に進化するAI技術の活用は、業務の効率化や自動化を推進する一方で、新たなセキュリティ課題も浮き彫りにしています。特に情報漏洩リスクは、生成AIの利便性と裏腹に深刻な経営課題となりつつあります。
この記事では、生成AI活用が進む現代において企業が直面する情報漏洩リスクの最新動向を分析し、具体的な対策や有効なツール選定のポイントを紹介します。企業の情報資産を守るために、今押さえておくべき対策を網羅的に解説します。
目次
AIと生成AIとAIエージェントの違いとは
業務にも生成AI利用が増加
生成AIが普及すると高まる情報漏洩への不安
業務チャットからの誤送信
外部AIツールへの機密情報入力
開発現場におけるAI学習データ漏洩
オンプレミス型orクラウド型
データ利用方針の確認
セキュリティポリシーが明示されている
利用履歴やデータ出力内容を確認できる
日本国内でのデータ保管・運用が保証されている
アクセス管理・監査ログ
社内ポリシーとガイドラインの策定
社員へのAIリテラシー教育の実施
入力データの自動検出・遮断システムの導入
ログ取得とアクセス制限の強化
生成AI利用を可視化する監視ツールの導入
AI利用に合わせた防御範囲をカバー
AI特有のリスクに対応できるか
既存の社内システムと連携できるか
AIの情報漏洩リスクを抑える『Eye“247” Work Smart Cloud』の活用法
操作ログの取得精度
アラート通知機能の有無
■そもそも生成AIとは
生成AIとは、テキストや画像、音声、動画などのコンテンツを自動的に生成するAI(人工知能)の一種です。特に自然言語処理(NLP)やディープラーニング(深層学習)の進化により、近年その性能は飛躍的に向上しており、ChatGPTや画像生成AIのように日常業務やクリエイティブ作業に広く使われるようになっています。
従来のAIは主に「識別」や「分類」などが主な役割でしたが、生成AIはゼロから新しいアウトプットを生み出します。しかしその一方で、生成に使われる情報の中に社内機密や個人情報が含まれてしまうと、それが出力として現れたり、AIの学習データに組み込まれたりする恐れがあります。
AIの発展により、業務効率化や高度なデータ分析が可能になる一方で、AIが取り扱う情報の性質によっては、情報漏洩などの新たなリスクも生まれています。
AIと生成AIとAIエージェントの違いとは
AI(人工知能)は大きく分けて3つのタイプに分類できます。従来型のAIはルールベースや機械学習による「識別・分類」などに強みを持ちます。
一方、生成AIは大規模言語モデルなどを用いて文章・画像などを“創造”する能力を備えています。
そして近年注目されるエージェントAIは、ユーザーの指示に従って複数のタスクを遂行する“意思決定支援”に長けたAIです。たとえば、スケジュールの調整やメールの下書き作成など、人の代理として高度な業務をこなします。
■なぜ今、生成AIによる情報漏洩リスクが注目されているのか
企業が生成AIを導入する際には、その利便性に注目が集まる一方で、情報の取り扱いに関する慎重な姿勢が求められています。生成AIの利用や業務チャットでのAI補助機能の活用など、企業内でAIを利用する場面は日々増加しており、それに比例して情報漏洩のリスクも高まっています。特にセキュリティ体制が整っていない場合、意図せぬ情報漏洩や、外部へのデータ流出のリスクが大きくなります。
こうした現状を踏まえ、生成AIによる情報漏洩リスクが注目されている背景を、実際のデータを見ながら詳しく解説します。
業務にも生成AI利用が増加
独立行政法人・情報処理推進機構(IPA)では、2024年7月にAIの業務利用の浸透具合やセキュリティ上の脅威・リ スクの認識についてのアンケートを実施しました。
2024年3月時点での業務でのAIの利用率を調査したところ、AIを業務で利用しているのが16.2%、予定があるのが6.3%、していないが77%でした。また、同時にいつから業務でAI利用をしているのかを質問したところ、昨年2023年から業務でAIを利用している利用率と、2024年は同程度に利用率が増加しています。
まだ十分に業務でのAI使用は浸透していると言えませんが、AIの普及率の速さから今後業務にAIを利用することは加速していくと考えられます。
※出典:IPA「AI利用時のセキュリティ脅威・リスク調査 調査報告書」
生成AIが普及すると高まる情報漏洩への不安
ガートナージャパン株式会社では、2025年5月に国内企業の情報漏洩対策に関する最新の調査結果を発表しました。
国内のセキュリティ・リーダーを対象に情報漏洩に関する調査を実施し、AI・生成AI・AIエージェント活用における情報漏洩リスクに関する意識を尋ねたところ、情報漏洩が発生するのが不安だと答えた人は56.6%であり、過半数以上の回答者が、情報漏洩が発生することに不安を感じていることが明らかになりました。
※出典:Gartner、国内企業の情報漏洩対策に関する最新の調査結果を発表
■AIの情報漏洩リスクとは?よくある事例とその特徴
AIの導入が進むなかで、特に注目されているのが「情報の取り扱い」に関するリスクです。AIは人の補助をするだけでなく、学習し続ける性質があるため、入力された情報が意図しないかたちで再利用される可能性があります。この見出しでは、実際に起こり得る情報漏洩の事例を通じて、そのリスクの特徴と背景を具体的に解説します。
業務チャットからの誤送信事例
社内で使用されるチャットツールでは、AIによる自動補完機能が文章を補助する一方で、誤ったスレッドや外部ユーザーを含むグループに対して、うっかり機密情報を送信してしまうケースが増えています。たとえば、社内経営会議の資料を共有するつもりが、外部企業とのチャットに送ってしまったという事例もあります。こうした誤送信は、ヒューマンエラーとAIの利便性の裏返しが重なることで発生する典型です。
ヒューマンエラーとは:ヒューマンエラー対策!操作ミスやインシデント事故を減らす方法とは
外部AIツールへの機密情報入力
ChatGPTやGeminiなどの生成AIを、業務のアイデア出しや資料作成に活用する際に、社内の提案書や顧客情報をうっかりそのまま入力してしまうケースが報告されています。
これらの外部AIは、利用規約に基づきユーザーの入力を学習に利用する場合があり、入力された情報が間接的に第三者に再利用されるリスクが存在します。特に、クラウドベースのAIツールは社外環境でも稼働しているため、社内情報を扱う際のリスクが高まります。
開発現場におけるAI学習データ漏洩
AI開発プロジェクトでは、機械学習用のデータセットに社内の問い合わせログや設計図、顧客対応記録などが含まれていることがあります。こうした情報が学習に使われると、AIの出力にそれらの内容が意図せず現れる可能性があります。
特にチャットボットや文書生成AIにおいては、「学習データに含まれる具体的なフレーズや内容をそのまま返す」ケースが確認されており、情報漏洩の危険性が顕著です。
■生成AIを業務に使用することのメリット
AIからの情報漏洩をゼロにするには、極論AIを業務に使用しないことになります。しかし、AIは業務の生産性や効率性を高めるうえで非常に有用なツールです。たとえば、ルーチン業務の自動化により社員の作業負担を軽減し、コア業務に集中できる環境を整えることができます。また、膨大なデータを高速で処理・分析できるため、迅速な意思決定や経営判断を支援します。加えて、生成AIを活用することで、文章作成やレポート作成、翻訳作業などの業務を大幅に効率化することが可能です。
このようにAIは、業務の質とスピードを向上させ、企業の競争力を強化する大きな武器となり得ます。ですので、AIで得られるメリットを最大限に受けながら、情報漏洩リスクをいかに低くAIを利用していくのかが大切になっていきます。
■法人向けAI情報漏洩対策チェックリスト
AI時代における情報漏洩リスクへの対応は、単なるルールづくりだけでなく、実際に何ができているかをチェックする体制の構築が求められます。そのために有効なのが、法人向けのチェックリストです。自社の現状を客観的に把握し、対策の抜け漏れを防ぐことができます。
以下は、AI利用時の情報漏洩対策状況を確認するための具体的なチェック項目です。このチェックリストを定期的に活用することで、AI活用のリスクを最小化し、情報漏洩の未然防止と万一の対応力向上につなげることが可能です。
また、現在、業務でAIを活用している方は、上記のチェックリストにより自社の情報漏洩対策はできているのか確認してみてください。もし当てはまらない項目がある場合は、次のセクションに進んで生成AIツールの選び方や具体的な情報漏洩対策を確認しましょう。
■情報漏洩リスクの低い法人向けAIツールの選び方
業務でインターネットを使用するのが通常になったように、AIを業務に使用することが通常になる未来がそこまで来ています。
そこで重要になるのが、リスクの低いAIツールの適切な選定です。情報漏洩対策の観点からは、セキュリティ対策が施され、データの取り扱いが明確にされている信頼性の高いツールを選ぶことが必要です。社内のルールや運用体制と連携しながら、安心して使えるAI環境を整えることが、今後の情報管理において大きなカギとなります。
オンプレミス型orクラウド型
生成AIツール導入を検討する際には、オンプレミス型(社内設置型)とクラウド型(SaaS)のいずれかから、自社の運用方針に適している型をピックアップする必要があります。
オンプレミス型は自社内での管理が可能でセキュリティに優れますが、導入・運用コストが高くなりがちです。一方、クラウド型は導入が容易でコスト効率に優れるものの、インターネット経由でのアクセスとなるため、利用するクラウドのセキュリティ水準を慎重に見極める必要があります。
データ利用方針の確認
AIツールがユーザーの入力データをどのように取り扱うか、具体的に明記されているかを確認することが重要です。特に、入力されたデータがAIの学習用途に利用されるかどうか、またその範囲について利用者がコントロールできるかをチェックする必要があります。情報漏洩を防ぐには、AIツールに入力データを学習対象外に設定できる機能があるかを確認し、その設定がデフォルトで有効かどうかも確認しましょう。
セキュリティポリシーが明示されている
生成AIツールがどのようなセキュリティ基準で運用されているかを公開していることは、信頼性の判断材料になります。具体的には、暗号化通信(SSL/TLS)の有無や、データの保護対策、第三者認証(ISO27001など)の取得状況は、安全性を判断する重要な指標ですので、明記されているか確認しましょう。
利用履歴やデータ出力内容を確認できる
ユーザーがどのような入力を行い、AIがどのような出力をしたかを記録し、後から確認できる機能が備わっていることは、内部統制や監査の観点で非常に重要です。特に情報漏洩の疑いがある際には、生成AIの利用履歴情報が調査の手がかりとなります。
日本国内でのデータ保管・運用が保証されている
データの保存先が日本国内であるか、また運用が日本法人によって行われているかを確認することで、国内の個人情報保護法などの法令順守が担保されやすくなります。クラウド環境を使う場合は、サーバーの設置場所や運用者の所在にも注目すべきです。
アクセス管理・監査ログ
誰が、いつ、どのデータや機能にアクセスしたかをログとして記録し、監査できる仕組みがあるかも選定ポイントです。不正利用や情報漏洩を早期に発見し、抑止するために不可欠な機能です。
生成AIツールに搭載されていない場合、ログ可視化ツールや監視ツールを導入することで補完しましょう。
■企業が実践すべき生成AIによる情報漏洩対策5選

生成AIの普及が加速するなかで、企業が取り組むべき情報漏洩対策はますます重要になっています。情報漏洩リスクを抑えるには、生成AIツールの選び方だけでなく、生成AIツールの使用方法や対策が大事です。
実際に企業が導入すべき具体的な施策を5つ厳選してご紹介します。
社内ポリシーとガイドラインの策定
生成AI利用に関する社内ポリシーを整備することは、リスク回避の出発点です。どの業務で生成AIを利用するか、どの情報を入力してよいか、誰が責任を持つかなどを明確に定めることで、社内の行動指針となります。社内ポリシーは現場目線で具体性を持たせることが重要です。
社員へのAIリテラシー教育の実施
生成AIツールの利便性とリスクを正しく理解するには、社員教育が不可欠です。特に、外部AIツールに対する過信や誤解からくる情報漏洩を防ぐために、「入力してはいけない情報」の具体例や、万一の対応方法までカバーする教育が求められます。
入力データの自動検出・遮断システムの導入
AIに入力された内容を自動的に監視し、機密情報や個人情報が含まれる場合にアラートを出したり、入力自体を遮断するシステムを導入したりすることで、人的ミスを技術でカバーすることができます。DLP(データ漏洩防止)機能などが有効です。
ログ取得とアクセス制限の強化
誰が、いつ、どの生成AIツールにアクセスし、どのような操作を行ったのかをログとして記録することは、後追い調査や不正検出において不可欠です。さらに、権限に応じたアクセス制限を設けることで、誤操作や情報の不正利用を防止できます。
生成AI利用を可視化する監視ツールの導入
生成AI利用状況を「見える化」することは、予防にも改善にもつながります。どの端末でどのAIサービスが使われているかをリアルタイムで把握することで、管理部門による監督が可能になります。
これらの対策を組み合わせることで、生成AIを安全に活用しながら情報漏洩リスクを低減することができます。
■AI情報漏洩対策に役立つツールと選定ポイント
情報漏洩対策ツールを選ぶ際には、自社の業務形態やリスクレベルに応じた適切な製品を選定することが重要です。特にAIが業務に深く関わる現代では、ツールの機能性や拡張性、運用のしやすさがセキュリティレベルを大きく左右します。以下では、企業が重視すべき3つの視点から選定ポイントを詳しく紹介します。
AI利用に合わせた防御範囲をカバー
AIツールはその用途や導入部門によって利用範囲が異なります。業務チャット、開発支援、文書作成、カスタマーサポートなど、さまざまな用途で使われるため、それぞれに適したセキュリティ対策が必要です。たとえば、チャットボットやナレッジ検索に利用するAIには、入力データの検閲やログ監視が必要です。一方、開発現場で使用される生成AIには、コードや設計情報の出力管理が求められます。防御範囲の広さと柔軟性が、導入後の安全性を左右します。生成AIツールに備わっている機能だけではカバーできない情報漏洩対策を補完できるツールの選択をおすすめします。
AI特有のリスクに対応できるか
生成AIは、入力された情報を学習し、将来の出力に利用する性質を持ちます。この特性は利便性と引き換えに情報漏洩リスクを内包しているため、AI固有の挙動を理解したうえでの対策が不可欠です。たとえば、社内機密がAIの学習データに含まれないよう制御する機能や、入力データの内容をリアルタイムで解析・遮断する機能が備わっているかを確認しましょう。
既存の社内システムと連携できるか
既存の社内システムや他のセキュリティツールとスムーズに連携できるかどうかは、導入・運用コストや現場の業務負荷にも直結します。たとえば、シングルサインオン(SSO)やActive Directory(AD)連携に対応していれば、より効率的でセキュアな運用が可能になります。導入時には、APIの提供状況や対応している連携ツールの種類などをチェックすることが重要です。
■AIの情報漏洩リスクを抑える『Eye“247” Work Smart Cloud』の活用法
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、AI時代にも対応した操作ログ監視・可視化ツールです。社員のPC操作やアプリ利用状況をログで把握でき、外部AIツールへのアクセスや不適切な操作を検出するアラート通知機能も搭載されています。
これにより、情報漏洩リスクを未然に防ぐだけでなく、万が一情報漏洩が発生した際にも迅速な調査・対応が可能です。また、定期的な利用状況の確認により、AI利用の適正化と継続的な改善を実現できます。
高精度な操作ログの取得は、万が一の情報漏洩が発生した際の迅速な原因究明に不可欠です。誰が・いつ・どのファイルを開き、どのツールを使用したかなど、詳細な操作履歴を残すことで、内部不正や誤操作の証拠を明確に残せます。 『Eye“247” Work Smart Cloud』は、PC作業ログやファイル操作ログなど多彩なログを取得することができます。CSVファイルでの出力も可能で、情報漏洩発生時の調査や証拠にも使用可能です。
アラート通知機能の有無
許可していないAIサイトへのアクセスがあった際に通知するアラート機能は、情報漏洩リスクを最小限に抑えるうえで非常に重要です。管理者へ通知することで早期対応が可能になります。
『Eye“247” Work Smart Cloud』は、URL操作ログアラートの設定で、事前にAIサイトのURLを登録しておくと、社員が許可されていないAIを使用した際に、指定したメールアドレスへアラート通知を送信します。
■まとめ:AI時代の情報漏洩対策は「見える化」とルール化が鍵
『Eye“247” Work Smart Cloud』のような可視化とアラート機能を備えたツールは、AI時代の情報セキュリティ対策において大きな役割を果たします。企業は単にツールを導入するだけでなく、社内に「情報保護への意識」と「適切な運用ルール」を根付かせることが、これからの時代の持続可能な情報管理につながるといえるでしょう。
この記事のポイント
|